世界選手権2013 回想録の巻。 2013/10/15 與那嶺恵理

世界選手権 イタリア フィレンツェ

今年1年かけて、取り組んできた、世界最大、最高峰のレース。
昨年の世界選手権女子、トップ選手のパワープロフィールを参考に、
それに近づく練習をこの1年、世界選手権のためだけに、積み重ねてきた。
そして、しっかり走れるパワーデータを達成して、イタリアまで私は来た。

未来のために、自分のために、
振り返り、言葉にし、頭と心を整理して、改善を行うために、
2014年、目標とする結果を出すために、
まとめます。

9/17 火曜日

 

TT 7日前 ロード11日前
日本時間の朝、出国。
イタリア時間の深夜、フィレンツェ着。
時差7時間。移動時間、約20時間。

 

ナショナルチームは、9/19深夜、イタリア到着するというスケジュール。
コーチとミーティングをした結果、私は調整が間に合わないため、
先に現地入りすることにした。TTのスタート地点であり、
ロードの周回コースまで10分ほどの最高のホテルに滞在した。
移動時間を減らし、すぐにTT・ロードともにコーストレーニングにいけるという
絶好の場所でした。

 

 

9/18 水曜日

 

TT 6日前 ロード 10日前
フィレンツェ周回 4周 約4時間の練習時間
ジェットラグ(時差ボケ)を起こさないように、イタリア時間での
生活リズムで活動を開始。朝起きて、バイクを組み立てて頂き、
のんびり午後から、まずは、コースの把握から。
地図を見ながら、コースマップを見ながら、標識を見ながら。

 

コースは、事前に調べていたコースマップや
コースプロフィールからのイメージと全く違うものであった。

 

斜度、コーナー、道幅、路面、など実際に走らないとわからないことばかりだった。
斜度が、予想以上に緩かったり、想像以上に壁の様だったり、
コーナーの逆バンクがあったり、
道幅が狭くなっているところがあったり、
路面は、全てキレイに整備されていたり、
初めての世界選手権のコースに対する印象は、
念入りに試走すれば、普通に問題なく、走れる!と不思議と感じられた。
世界選手権という空気感に、自然と緊張感を持っていられたこともあり、
イタリアの乾燥した気候にも、コンディションを崩さず、身体の調整もうまく進んでいた。

 

朝は、地元の市場でパニーニとフォカッチャを。
お昼は、基本的にとりません。練習後に、ジェラートで幸せ時間♪
夜は、美味しいお店を探して、予約して、フィレンツェ料理を満喫。
イタリア滞在中、毎日の食生活はこんなリズムで。
私にとって、食事の時間は、心を安らげる大切な時間。
そこも妥協せず、いい時間を、自分で作ります。

 

 

9/19 木曜日
TT 5日前 ロード 9日前
フィレンツェ周回 4周 約4時間の練習時間

 

レース前、いつも陥るチキンなメンタリティ。
今回もいつも通りにハマりだす。
接する相手に、独りよがりな言動をしてしまう。
私は、今、不安だ!いっぱい、いっぱい! ということの表現が歪んでいる。
それもこれも自分で理解していても、
自分をコントロールできないところがまだまだ未熟。
そのことに関して、練習中でも、即、道の脇で、コーチとミーティング。
指導、改善は、その時、その場で。

 

指導されたことを、改善することは、自分自身でするしかない。
いつも通りの改善方法で。
それは・・・。
深く考えないこと。
簡単。何しに来たかを、思い出すだけ。
そして、全てのことに感謝と思いやりの気持ち。それを自分で再認識する。

 

 

9/20 木曜日

 

TT 4日前 ロード 8日前
フィレンツェ周回 2周 約3時間の練習時間

 

ジェットラグの影響か、イタリアに少し慣れて安心したのか、
少し身体が重い感じがしたので、サクッと、2周で練習終了。
これも、コーチが私の体調をみて、私の主観と合わせて、判断。
その後、TTコースのラスト10㎞を試走。

 

この日は、ナショナルチームと合流の日。
しかし、事前に聞いていたナショナルチームのホテルの場所を私が勘違い。私たちの滞在していた隣のホテルが同じ名前。そこだと思い込んでいました。
ナショナルチームのホテルは、周回コースから約50㎞離れたホテル・・・。
つまり、ナショナルチームは、周回コースとTTコースに移動だけで車で往復2時間以上。
私には、その移動時間を毎日繰り返すことは、ありえない。できない。

 

なぜなら、
私の場合、コーストレーニングをした方が、パフォーマンスがあがる。
そのためには、毎日、移動を繰り返さなければならない。
移動にかかる身体への負担は、パフォーマンスを下げる、避けるべきこと。
なぜ、自ら、パフォーマンスを下げることを選択する必要があるのか。
ナショナルチームは、選手のパフォーマンスを下げる選択をさせるのか。
ナショナルチームによって制約された中で最高のパフォーマンスを
出すことが選手のあるべき姿なんだろうか。

 

その場で、ナショナルチームに、
自分がホテルの場所を勘違いしていたことを謝罪し、
ロードレース直前まで、コーチとこのスタート付近の滞在先で過ごすことをお願いしました。
それは、移動時間を極力減らし、コーストレーニングをいつでも行え、
練習後すぐにシャワーを浴び、身体が回復できる場所は、どちらなのか?
世界選手権での順位、パフォーマンスが上がる。結果がよりよくなる方を選択するためでした。
ただ、レース前日までコース近くのホテルにステイする。
もちろん、宿泊費は自費です。それだけをお願いしただけでした。

 

しかし、答えは、NO。
ナショナルチームでの団体行動ができない場合は、
出場すらさせないと最終的に告げられました。

UCIへの移動報告などの修正もお願いをしましたが、受け入れてはいただけませんでした。
 

練習後、コーチと夕食とともにミーティングを行い、ナショナルチームのホテルまで移動。
この日からレース終了まで、コーチはほぼ毎日、私は最小限に、
往復100kmの移動が始まりました。

 

ナショナルチームでの団体行動。
食事時間、練習時間、コーストレーニングに行ける日、時間、ステイする場所、、、
全て同じ。皆で、一緒に。
経験のない女子選手だから、それを求められるのか。
それが、初めての世界戦のナショナルチームの形。
それが、普通。なのか。
普通。じゃ、普通の結果しか残せない。今まで通りの。
レースでの結果が滞っている、もしくは悪い方向に進んでるのだとしたら、
何かを大きく変えるしかない。
というコーチとお互いの持論のもと、
普通じゃないフィジカルを準備してきただけに、無念の選択。

 

優先すべきは 団体行動なのか パフォーマンスなのか
私は、他の選手に流されることなく、ナショナルチームの団体行動に
お利口さんに従うのではなく、自分のスタイル、ペースを貫くということが
パフォーマンスをあげること、ひとつでもいい順位で走ることに繋がることが
今回の世界選手権ではっきりとわかりました。
それは、ナショナルチームの行動を否定するのでも、肯定するのでもありません。
私のレース前までの調整やトレーニング、食事、全てに関して干渉せず、
見守ってほしいのです。
理解してほしいとかそういうことでもありません。
高校生の修学旅行ではないのです。
ナショナルチームとして、
選手、與那嶺恵理が結果を出すための最善の行動をとることを許容して頂きたいだけです。
練習に出る時間に合わせて朝食をとりたい、
レースの時間帯に合わせてトレーニングを行いたい、
周回コースも嫌になるくらいまで走りこみたい。私は。
選手として、ごく普通のお願いをしているだけだと思うのですが。
何かあれば自分で責任をとるべき年齢であり、それなりの覚悟で競技をしている。

 

 

9/21 土曜日

 

TT 3日前 ロード 7日前
フィレンツェ周回 4周 約4時間の練習時間

 

他の選手は、ナショナルチームの滞在先付近で調整。
私は、コースを走りたいので、
監督会議の為にコース周辺まで行くナショナルスタッフの車に便乗させて頂き、コーチと合流。
段々、レースのイメージも出来てきて、
上りでレースペースのトレーニングで刺激をいれつつ。
レースの作戦を練りつつ。
これでもか! ってくらいコースを走ることで、他の選手との差を縮められる。
自分にはそれが必要。恥ずかしくもなんともない。
1つでも順位があげるために出来ることは出来る限り。

 

そして、練習後は、ジェラートで幸せなひとときを。
私にとって、これはとても大切な時間。
体重管理は、ものすごい気を付ける。プロ意識をしっかり持って。
食べるもの、食べない方がいいもの、食べた方がいいもの。
自分でわかっている。
ジェラートは、心の栄養。

 

 

9/22 日曜日

 

TT 2日前 ロード 6日前
フィレンツェ周回 6周 約5時間の練習時間
この日も、他の選手は、ホテル周辺で調整。
私は、前日同様、所要のあるナショナルスタッフの車に便乗させて頂き、コースまで。
そこで、コーチと合流。
ロードに向けて、最後の最後の追い込みトレーニング。
周回コースを6周。
最後の3周は、
フィエゾーレ
200w 6分
250w 4分
300w 2分  (合計約12分 250m UP)

 

もうひとつの壁坂
300w 2分

 

最後のジェラートも忘れずに。
その後、コーチとの滞在するホテルでシャワーを浴びて、着替えて、
TTバイクの準備、調整のために、
コーチも一緒にナショナルチームの滞在先へ。

 

 

9/23 月曜日

 

2時間のTT練習

 

TT 1日前 ロード 5日前
TTバイクの最終確認、TTバイクで調整ライド。
朝から、コーチにナショナルチームの滞在ホテルに来て頂き、
一緒にバイクに乗りながら、身体の調子、バイクの整備を確認。
報告、連絡、相談。ホウ・レン・ソウ。です。

 

レース前日、とにかく身体をフレッシュな状態にさせるために、
ゴロゴロする。食べ過ぎない。これが、私の鉄則です。
長時間座ったり、立っていたりはできる限り避け、
マッサージを受けて、のんびりするのです。
1人で部屋にこもっているのではなく、
レースにむけて、部屋でゴロゴロして、身体と心をリフレッシュさせていくのです。
私にとっては、いつものレース前のルーティンですが、
意外に、こういう誰にでもできそうなことが、難しかったりするようです。

 

この日は、ジュニア女子とU23のTTが行われており、
レース後、交通規制が解除される前に、
TTのコースの試走をしている他国の選手が多数いました。
公式の練習日、練習時間ではなくても、
隙を見つけては、しっかり走る他国の選手たちを多く目撃した。
それは、ズルい、のではなく、賢い。
この時も、コース近くに滞在していれば、自分もしっかりの波に乗れた。
どこで、どうやって、他の選手よりもアドバンテージを得るのか。
自分より強い選手が、自分よりも有利なことをやっていたら、
差は開くばかりです。

 

 

9/24 火曜日

 

世界選手権 タイムトライアル エリート女子 27位

 

TT 本番 ロード4日前
午前、ジュニア男子。午後、エリート女子。
とにかく、レース直前まで、身体を休めておくこと。出来る限り。
ナショナルチーム、選手、スタッフ全員で、ジュニア選手のレース時間に合わせて、
一緒に朝早くからTTのスタート地点に会場入り。
ジュニアのレース前に試走できたので、しっかりその波に乗って、
しっかりコース全部を試走。
コースの前半部分は、当日初めて走りました。
がっつり。してないと戦えないと改めて痛感。

 

TTスタート地点の目の前がコーチの滞在するホテルですので、
午後の私のスタート直前まで、ひたすらゴロゴロ、のんびりできました。
朝の移動がなければ、もっとゆっくりのんびり身体の負担を減らせたのですが・・・。

 

そして、コーチと滞在しているホテルであれば、
もっと入念に、反復して、TTのコーストレーニングが出来ていました。
そこを、妥協してしまった。
出場させないと言われてしまえば、そこまででした。

 

私の今までの結果を支えている、入念なコースの試走。
ここを妥協せざるを得なかった。反省するべきです。

 

結果、TT 27位。
2014年は、10位以内を目指します。

 

レース前は、軽くローラーで汗を流して。
西メカニックは、私が何の不安も感じないような配慮と入念な準備をして下さり、
バイクチェックも何事もなく。
ロードに向けたレース感覚、緊張感を感じるために、怪我なく、まとめる。
最高の舞台に感謝し、楽しめ!
TTのレースは、いつも不思議な感覚に包まれる。
この日は、苦しんだけど、レースしながら、泣いてしまった。
今までのことを振り返ってではない、ここで走っている自分に感動した。
世界選手権で、恥ずかしくない、認められる走りをしている自分に感動した。
そして、ありがとうって。
ホットシートに座るというおまけ付きで、いい感触を持ってレースをまとめることができた。

 

レース後の大切なダウンは、やっぱり満足には出来なかった。
近くを走って、しっかりクールダウンを行なう。ナショナルチームでは基本的にダメのようだ。
今後は、どうしたらいいか、対策を練らなければ。

 

 

9/25 水曜日

 

ロード 3日前

 

この日も、朝から50㎞離れたところから、コーチがやってきました。
TTの反省とロードへ向けた気持ちの切り替えを、
話し合いながら、軽く2h 一緒にトレーニングを行います。
ここまでして、なぜ一緒にトレーニングを行うのか。
それは、一緒に走らなければわからないことがたくさんあるからです。
私の経験の少ない分は、コーチの経験とスキルと観察力と洞察力で
補える部分がとてもあるのです。
ナショナルチームの練習は、サポートカーをつけて、決められた場所で行っていました。
それは、おそらく安全を一番に配慮するためです。結果ではなく。
コーチと一緒であること、トレーニング時間や居場所をナショナルチームに申告すること
という条件で、
私は私の自由なトレーニング、調整を行うことができました。
自分のメニューを、自分のペースでトレーニングすることの方が、
不思議。みたいな空気でした。
ジュニアとエリート女子しかいなかった、というのも大きいのだろうけど。
TTの結果に関して、落ち込むとか喜ぶとか、一喜一憂することは全くなかった。
ただただ、
TTで感じた、見るべきところ、比べるべきところがどこなのか、ということ。
走りたい世界、場所を体感し、
ロードで同じことをもう一度、感じれることにワクワクしていた。
それとともに、下手な走りは出来ないし、するつもりもない。
と、改めて気を引き締めていました。

 

 

9/26 木曜日

 

スタートより フィレンツェ周回 2周 練習時間 約4時間

 

ロード2日前
この日は、宮澤選手と。

 

宮澤選手は、今回の世界選手権が行われる地のすぐ近くのLUCCAというところに
住んでおられ、フィレンツェの土地勘もあり、
さらにレース勘が非常に優れた選手だと以前より伺っていましたので、
吸収させてもらえることが大いにあることは確かでした。
なので、事前に連絡を取り、今回のような機会を頂きました。
この日は、オフィシャルのコース試走日でした。
他の選手は、車でコースまで行き、3周ほど試走し、また車で戻ったそうです。
レース2日前なので、負荷をかけることなく、100㎞程乗りました。
この間の時間で、宮澤選手からたくさんのことを吸収できました。
私以外の選手は、前日にスタートから周回までのコースを、車で下見に行っていました。
やはり、実際にバイクで走らなければわからないことは、非常に多い。
また、周回に入るまでのレースのイメージを作るために、
落車が起こりそうな場所、動きがありそうな場所を、
実走して確かめる必要がありました。
周回コースがレースの本番とすれば、周回までは予選。
予選でいかに脚を貯めた走りをするかです。
予選をただなんとなく走って、レースできるほど、
世界選手権は、私には甘くないから。
他の選手にとってもいい機会だったのに、
自分も一緒に行きたいと言う選手がいなかったのは、驚き、残念。

 

 

9/27 金曜日

 

ロード 前日

 

朝から、コーチがナショナルチームのホテルに到着後、
2hの最終調整、最終確認。いろんなことを話しながら。

 

練習中に、ジルベール選手とフォス選手と遭遇。
もちろん、おおおおお!って思いました。
でも、自分も彼らと対等に戦えるレベルを目指しているのです。
気にするところは、
どれくらいのボディシェイプなのか、どれくらいのスピードなのか、どんなフォームなのか、
とかそんなことです。
憧れてちゃいけない。手本にしないと。

 

午後は、U23のレースをコーチと共に見ながら、
明日のレースのイメージと最終的なレースの動きを確認。
U23のレースは、同じ時間帯、同じコースで行われていた為、
レースの展開のイメージを作るために、とても参考となることが予想できる。
選手は、見た方がいいと思うし、
コーチや監督は冷静な分析をし、選手に情報を伝えるべき。
そして、コーチとイメージを共有し、何通りもの動きを想像し、準備する。

 

レース回数、経験が少ない分は、
レース映像でのイメージトレーニングである程度補えることは、実感している。
ぼやっとしたイメージではなく、リアルなイメージ。
例えば、ここでアタックしたら、されたらどうなるか。自分はどうするか。そういうこと。
イメージがある、イメージをしているだけで、心の余裕が全然違う。
悪いイメージは、しない。
悪いイメージではなく、悪いことが起こった時に、対処するイメージをする。
例えば、完走できなかった自分をイメージするのではなく、
落車に巻き込まれた時に、冷静に対処する自分をイメージする。

 

U23のレースを見た後、マッサージをして頂きに行くと、
他の選手がマッサーの方のお部屋に集まって、おしゃべりをしていた。
見るべきものを見、得るべきものを得、感じるべきものを感じること。
それを知らない彼らを見て、また残念。
世界選手権に戦いに来てるのだ。皆と楽しい時間を過ごすために来てるのではない。
不安を、緊張を紛らわすためにとるべき行動は、
集まることではなくて、一緒にいることではなくて、
事前の出来る準備を最大限にし、出来たことによる自信を得ること。
過信ではなく、自信。
こうして、再度、自分に言い聞かす。

 

この夜、
やっと、ナショナルチームでの辛い食事の時間も、この日で終わる。
と内心、安心してしまった。
毎晩、選手の目の前で、前菜にセコンドにドルチェにカフェ。
スタッフさんはいいにしても、他の選手も。
2年前のダイエットしていた時を思い出して、辛かったのです。
これは、精神衛生上、良くなかった。自分に反省。
自分で環境を変えるべきでした。

 

そして、毎晩食後に、ミーティング。
知りたいのは、スケジュールやレースのことに関して。
カフェをしながら、緊張感のないまま、おしゃべりに発展したりするミーティング。
緊張感を持って、完結かつ明確に情報を交換し、連絡する。
そんな空間、時間ではなかった。
7時に始まる食事で、ミーティングが終わるのは、9時を過ぎる。
2時間以上も椅子に座りっぱなしにさせる。
体力、気持ちをひどく消耗する、身体の回復を妨げる時間でした。

 

 

9/28 土曜日

 

世界選手権 ロードレース エリート女子 40位

 

ロードレース当日。
14:15 スタート。

 

前日に、監督に呼ばれ、女子エリートだけのミーティング。
レース当日のタイムスケジュールと、
午後のレースなので、朝に1hほど練習を行いなさいとの指示。

 

おそらく周回コースを走ったこともないのでしょう、
どこでアタックがかかると予想されるとか、落車が起こりやすいとか、
具体的な知りたい情報は何もありませんでした。

 

この日もコーチは朝からこちらに来て、スタートまで、コーチが帯同。
私は、午前中に乗ることで、パフォーマンスが上がらないので、
午前中は、ゆっくり起きて、のんびりご飯を食べて、ひたすらゴロゴロ。
レースまでに出来る限りパワーを貯めます。
メカニック、ボトル、ウェア、全ての準備を、入念に。
念には念を。全てダブルチェックです。
バイクは、ナショナルチームのメカニックとコーチで。
それ以外は、私とコーチで。
レースまでの時間を全て逆算し、焦らず、丁寧に、

 

やるべきことを、積み重ねます。
レースまでの残りの時間=レースの準備に与えられている時間。です。
最後の数分は、
全てへの感謝と、何も起こらないように、神頼みをする。

 

そして、レース。14:15スタート。

 

40位。

 

世界選手権。説明できない、言葉にできない、感動を感じました。

 

あ、これか。

 

私が、今、輝ける、輝いてる、輝かせてもらってる場所は。って。
普通の選手が、どれだけ頑張っても、どれだけ努力しても、
一生かかっても立てない舞台なんだよ。
出場するだけでなく、完走すること、結果を狙い、厳しい練習を積み重ねることは。
と、改めてコーチとコーチの奥様に言われました。
だから、出場するなら、本気で挑むべきレースだ。
最終周の上りのピークで、泣きました。
本気で臨んだから、自然に流れた涙でした。

 

私の今の実力を顕著に表している、世界での順位。
日本で2年走っただけのその辺の大学生が、
ヨーロッパに行くこと自体も初めてで、
初のヨーロッパのレースが世界選手権で、
40位。

 

この現実をどうとらえるかは、皆様のご自由です。
そして、この40位という順位をどうとらえるかも、人それぞれです。

 

もっといい結果を出す準備をしてきた。
しかし、これぞレース。
最初の上りで先頭とのタイム差がわからなかった。
無線もない、言葉もわからない、
自分が今、いるべき場所に、いるのかいないのかも、わからなかった。
自分が先頭集団だと思い込んでいた集団が、第二集団であると、違ったとわかった瞬間、
先頭の大きな集団にいないとわかった瞬間、
意外にも冷静な自分がいました。

 

先頭集団で走ることが一番の目的、目標だった。

 

でも、頭の切り替えが、なぜかものすごくすんなりできた。
今いる位置から、ひとつでもいい順位をという判断をした。
その時、もうひとつ確信できたこと。
完走できないようなことは、絶対にない。ということ。
メカトラや落車が起こさない限り。
それが2013年の世界選手権の等身大の自分の実力だった。

 

結果が滞っている、もしくは悪い方向に進んでるのだとしたら、何かを大きく変えるしかない。
つまり、まずはヨーロッパに行くべきだ。レースで経験を積むべきだ。
日本にいてはダメだ。とか。
いわゆる、自転車=ヨーロッパ。ヨーロッパへの幻想。
その前に、冷静に。
世界レベルで結果をだせるFTPにするべきだ。ボディシェイプするべきだ。とか。
お金や環境を揃える前に、自分を変えることに目をむけてから、
ヨーロッパに目をむけるべきだと、私は、思う。

 

2年で世界選手権を走ったという事実は事実です。
他の選手や指導者は、私に興味がないのか、不思議です。
私は、イタリアで宮澤選手と一緒に走るお時間を頂いた時、
どんな練習をしてるのか、食事、持っている考え、行動、全てに興味がありました。
それは、その中から自分にも強くなるために使えるヒントが
どこかに眠っているのではないかと感じたから。
だから、積極的に自分から話し、聞き、吸収。
こんなに素晴らしい選手が間近にいるのに、
まったく関わることをさせないナショナルチームには、、、

 

はっきり言って、日本の自転車界が強くなるとかは、どうでもいい。
22歳の私に他の人のことまで考える余裕なんてない。
まずは、自分がもっと強くなる必要がある。
世界選手権の度に、自分のアップデートを続けること。
だから、
他の人のことは、気にしない♪ほっとくのが1番だ!というのが結論。
だから、
私のことを煙たいと感じる皆様、私のことが嫌いな皆様、
私のこと、気にしないでください♪ほっとくのが1番だと思います。
嫌いだけど気になる、気になるけど嫌いという皆様、
攻撃はしないで下さい。チキンの私は、ビビります。
応援して頂ける皆様は、無償の愛をもって、温かく見守って頂けると、私は非常に喜びます。

 

まずは、2014年。
世界選手権@スペイン
ロード、TT共に、10位以上。
そして、2年後、2015年。
世界選手権@アメリカ
タイムトライアル、ロード、表彰台。

 

このためだけにすでに始動しています。
日々のトレーニングも生活もレースも、この世界選手権のために行います。
私がなぜその練習をして、それを食べて、そのレースに出るのか、
全てに意味があります。
それはすべてを世界選手権につなげるというコーチと私の信念のもと行ってまいります。

 

 

2013/10/15

 

與那嶺恵理

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